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(1)ある軍医の日記・こころを癒される日本語
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(1)ある軍医の日記・こころを癒される日本語 

2023年2月

2月8日(水)

今日やっと日本語の勉強に戻ることができた。日本語の世界はいつも心強く感じさせてくれて、何とか魂のバランスを整えてくれる。少し朝早いけれど楽しい。先生は性格が明るくて、やり取りが大変楽し! 日本語は、忘れすぎちゃった気がする。時々考えをまとめられず、「戦争疲れ症候群」ではないかと思って… それは正しい用語かどうかわからないけど。このままだとどこまで続けられるのだろう… でも日本語触れることをやめたら、あとで後悔に陥るかも知れない。だからずっと続けたいと思っている。日本語をしっかり身につけて、自分のものにしたいんだ。

朝っぱらはいつもの病院の後、前線から戻ってきた兵士たちから色んな依頼があった。軍医って面白いことだよね。先ずは「この人は敵の前線へ進めるかどうか」を決める方法だ。進めなかったら、それは何故だろうと考えなきゃ。病気のか?あるいは腰抜けのか?どっちだろう?そして上官が「病院」ということを聞くのは大嫌いんだ。『「病院」って何よ? 兵士は前線にいること!あそこへ動きなさい!』上官はそういうことをいつも願っているんだ

今のウクライナでは色んな大変なことが普通になった。犠牲、犠牲者… 普通すぎる。もう誰も驚かない。痛みの感覚が失われてしまったようだ。高齢者であれ、若者であれ… 自分の命の価値も崩れてしまったようだ。生と死ただの瞬間に過ぎない。戦争の後はどうするか… 今のところ見当もつかない。

2月9日

00:00 

今朝の4時にドニプロ市へ行ってきます。怪我がうまく直なかったり、たくさんの兵士兄弟たちが病気になったりしているからだ。今日は酔っ払った馬鹿が一人いた。本当にぶっ殺したい、このバカ!皆の足手まといになって、ここ残ればいいけど下顎が化膿している… 治療しなければこの馬鹿は死ぬわけだ。だからなんとかしなければならない… 注射したが、あと4時間かなー

2月10日 

0:46 ドニプロから戻ったんだ。疲労したけれど義務を果たしたようだ。眠い…

7:10 皆は眠っているうちに、日記を書く時間たよね😁 本当は言いたいことがたくさんあるが時間もないし、力も少ないし… でもいつも夢見て、日本語で自分の中や重要な周りのことを描くことができるように…「誰にも要らない」と思ったから、「ミスが多過ぎになっちゃうかな、皆を笑わせてしまうだけで、恥ずかしい…」と考えたから自分のブログでそれを書く勇気がなくて、結局ただ色んな芸術的なことを描いていたんだ。でも今回こそ… 先生は可哀想だよね、この全てを読むように約束したから… 😁😁😁(にんまりだ😁)

7:24 軍医はだいたい負傷したばかりの兵士を助け、それ以外の問題なら大きな医療センターへ行かなければならない。そこへ出発するために色んな小細工をしないといけない😁それで例えば昨日往復で600キロぐらい車の中で過ごした。こんなふうに旅行するのが好きじゃないけれど兵士たちのために必要だ。でもそれはもう昨日のことだ。今新しい日が来て、新しい依頼が来るね。

20:20  今日も一日中車で過ごした。今回、まだ戦場にある死体を2体待ちながら。いつ僕の所へ運んでくれるかまだ分からないけど。

23.20 ついに戻った。休みたい…

2月12日 

20:15  

やっとエネルギーと時間がある!正真正銘な日記ではないかも知れないが、中から色々見せていきたいと思うよ。

(「正真正銘そのものですよ!」ー先生)

この戦争の中で僕の責任というのは、負傷した兵士を助けることはもちろん、でもその上になんだろう… たぶん、心を失わないように頑張ると同時に、自分の利益や恐怖、疲れを砕きながら義務を果たすように頑張ることもかな?戦争は血まみれで、残酷なことであり、人の人生はただの材料のように使われている。僕は、自分の責任の一つは、無情にならないように頑張ることだ。さもないと人間の姿を簡単に失えるからだ。ましてやこの種類の敵と関係を持ったら。あの野郎たちは無神経、無慈悲なやつだよ。自分の人生にも、他人の人生にも心がなさそうだ。あの野郎達はここへ何のために来たの? 各林を自分の死体で何のため肥料してるの?どう考えても意味がわからない。もし、彼らは頭がおかしいからこそ死の希望ができたのだろう?

他の理由があるかもしれない。どうであれその結果僕らも死や悩みの意味をある程度忘れちゃったようだ… 友達の死でさえ、このあと埋めない穴がずっと残ってるけど痛みが鈍くなる。慣れちゃったよね。この無神経さはあまり良くないことだよ。避けられるんだったら、金輪際この無神経さと関わらないほうがいいよ。生き残れば無神経のままどう生きていくか…

今自分の気持ちについて考えてみれば、気持ちは愛された人へ残って、何とか日本語と関わっている世界に対しても… ウクライナ語であまり何も伝えたくない、描きたくないけど。それは他の人の反応に火をつけないようにかも知れない。今他人の気持ちはなんか負担に感じる。逆に違った言語ならば… 異世界のような遠い国ならば… 書いて、出して、だいぶ楽になるかも… その人たちは僕の国とほとんど関わらないから、遠いことであるからこそ同情を持ってさえいれば… だからこの言語で考えてることを描くとき壁がない気がする。先生以外に誰にも読んでもらわなくても🙂

2月13日

8:30  – 21.00  

ある人を手伝うことが出来てよかった。いま大好きな日本の歌姫を聴くのも幸せです。戦争について全然考えたくない。戦争は絶えなくドアを叩いているけど… でも今日はだいたい平和な一日だった。戦争なりの「平和」だけど😁仲間は負傷せずに済んで、死ななくて良かった。前へ進もう🙂

2月14日

今日はバレンタインの日ですね。でも僕は恋人から連絡がない… つらい。

今朝隣の前線のところに怪我人が十五人、死者が十人出た。かなり多いんだ… こんな軍事的損失は稀にない… あの隊分の戦い方には何か問題があったかも知れない。でもそれは戦争だよね。こういうことも時々あるよね…

教科書を一歩ずつ読んでいる。というか、見ている🙂ビデオを見て、問題なく分かったらそれ以外何か勉強する意味がなさそうだと思った。低いレベルでもビデオが面白くて知らなかったことも出てた。文法でもないし、ただ一般的な知識のことだ。「男性なし電車」とか。面白い。何とか戦争なしの平和な世界へと潜り込んでいこうと思って…🙂

21:45  今日戦争は元気過ぎてた。この瞬間まで僕らの救急車で19人が避難していた…

2月15日

今日は色々ありすぎて… それで少し頭が混乱して、書くことができなさそうだ。

2月18日

今日はこの間のことについて話したくない。ただ思いの流れを見せて行きたいと思います。

人間とはいったい何だろう。勇気も、卑怯も、何もかも人間の心で絡まっている。年を取りながら色んなことを経験していくね。悪も、疲労も、喜びも… (「喜怒哀楽ですね。」ー先生)

しかし結局芸術的なイメージ以外、心の中に何も残っていない感じがする。人生は大きな劇場だと思っている。何があっても心の中に思いの結晶しか残っていないから。この戦争の時間から何が残るのか? 経験はかなり多いけど、この経験の質は… まだよく見えないよ。心にいろいろ刻み込まれるはず。戦争が終わってからでないと、人生の流れの本当の意味は目に見えないかもしれない。渦巻にいるうちに本当の意味をはっきり分かることができないと思う。戦争の前に経験したことの思い出も今酷い疲れのせいでほぼ眠っている。日から日へただ義務で動かされながら進んでいる。今の僕はいったい何者? いつか、どこかで、この世か、あの世でわかるはずだよね…

2月22日

やっと病気や重い負傷を負っている兵士たちとの関わり方が何とか出来そうになった。正しいかどうかはまだ判断できないけど。でも今の時間に希望がある。

日本語の勉強は思ったほど遅くて、時間がキツイ… でも、勉強の時間ができたら心がバランスをとれるから、それだけでいい。日本語は知らない方法で僕の中を形成してくれている。なぜだろう。いろんな散らかった想いは桜の花びらのようにゆらりゆらり漂いながら、結果で宝石のように結晶する… それは日本語の雰囲気、日本語の発音、日本語のリズムですね。いつも心が癒やされる。日本に行ってもいつまでも外人であると分かりつつも… おかしいですね。

戦争は獣のようなものだけど、この獣の牙は私のインナー世界の大事な一部に届かないんだよ。僕は変わり者ですね。

(「そんなことないよー 自分の心を癒してくれるものを見つけた人間だけなんだよ。すばらしいじゃないか!」ー先生)

2月25日

今日は特に大したことはしなかったが、よく分からない疲労感が… 

書類を取り扱ったり、何回も編集したり、上官とのやり取りしたりして吸血鬼にやられたみたいに酷い疲れに覆われてきた。何も出来ねー、体が動かねー 死にたいです。(「疲れが溜まったんですね (泣) できればたくさん休んでください!」ー先生)

3月5日 

0:30

夜中近くに僕らの弾薬庫が奪われた… それはよくない。何が爆発したのかはっきり分からないけど、大変なことになっている。今まで怪我人について情報がないのに… 出ないように祈ってる。

面白いのは、それは弾薬庫の爆発前に敵の戦車は僕らの居場所を奪ってみて、爆発の音がけっこう大きかったし、寝る所に近かったけど、僕はぐっすり寝てて、何も聞こえなかった。でもラジオが点呼を始めたときすぐに起きて、最初は「なぜこの時間に点呼してるんだろう?」とびっくりして、ただ普通に点呼に答えたが、現況は後で分かった。

考えてみれば、それは便利じゃないか。こんなふうに爆弾が落ちてくれば悩まなくて他界で目覚め、最初から何も分からなくなるかなー。苦しみたくはないから、こんなふうに楽に死ぬんだったらー

戦時名サムライ、ウクライナの軍医             

9:00 

弾薬庫の爆発で誰も負傷しなかった。よかったですね🙂 前に進もう…

この儚い世界の中で、生と死は一緒
同じ流れに結ばれ、絡まり、
切らずに進もう
世界の海面には、歪んでいる偽りの影だけじゃ
どんなに強い波でも、
真ん中の淵に届かぬ
形を滅ぼす力には、
心が届くほどのパワーが足りず、
儚い心の中身は、
何よりも強い。
死の牙が届かない世には、
思いの刃が
咲き誇る 💛

(2)ある軍医の日記・平和の世界、戦場の世界 →

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